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名前 コメント
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……暗闇の中で唐突に意識が覚醒した。 とっさに後頭部を触り、異変がないことを確認する。 血まみれでもないし、割れていることもない。 ……夢を見ていただけなのだから何もなくて当然だ。 今までに何度も見た、とても恐ろしい夢。 この夢を見ると、決まって震えが止まらなくなり、酷いときには朝まで寝ずに過ごしたこともあった。 ……呼吸の乱れを整えつつ、手探りで隣で眠っている人物……圭ちゃんの手を探り当てる。 その手を強く握り、祈るように圭ちゃんの腕を抱きしめる。 ……大丈夫だよね……? 私は圭ちゃんやみんなに、あんな酷いことはしないよね……? しばらくそうしていると、呼吸の乱れや動悸が収まってきた。 (……うん、もう大丈夫。もう怖くない) ……やっぱり圭ちゃんがそばに居ると落ち着く。 好きだからとか、そういうことじゃなくて……護られているような安心感がある。 私が辛かったり寂しかったりすると優しくしてくれるし、……何か間違ったことをしようとすれば、身体を張ってでも止めてくれる気がする。 いや、気がする、じゃなくて……実際にそうだった。 私が転校してからしばらくして、沙都子と大喧嘩した時のことだ。 ……私の投げた椅子から沙都子をかばってくれたんだ。 圭ちゃんが沙都子をかばってくれなかったら、きっと私は酷く後悔したと思う。 ……きっかけは些細なことだった。 圭ちゃんに悟史くんの事を……失踪した沙都子の兄だって教えたら、なんだか急に沙都子に優しく接するようになって……。 圭ちゃんは優しい人だから、悟史くんの代わりに、沙都子のお兄さんのように接してあげていただけなのに。 それなのに、私は沙都子に圭ちゃんを取られたような気がして、……沙都子が鬱陶しく思えてきて……。 …………そんな私の馬鹿な妬みのせいで、圭ちゃんは額に小さくはない怪我を負ってしまった。 普段は前髪に隠れているが、圭ちゃんの額には、その時の傷痕が残っている……。 静まりかえった教室で、額を押さえてうずくまる圭ちゃんを目の当たりにしたら、なんて馬鹿なことをしたんだって、急に怖くなって。 その場に座り込んで、泣きながらごめんなさいごめんなさいって、ずっと謝り続けてた……。 そして思い出せたんだ。 悟史くんに……沙都子を頼まれたことを。 ……その点に関しては例の悪夢に感謝するべきかもしれない。 夢の中の私も、沙都子の面倒をみなかったことを後悔していた。 ……そもそも、あの夢はいったいなんなのだろう……? 同じ内容の夢を何度も見るのは普通じゃないと思うし、……支離滅裂ではあるが、夢の中の私に全く共感できないわけではない。 もし同じ状況に立たされたのなら、私はどういう行動を取るのだろうか……? やっぱり私も、夢の中の私と同じように感情に身を任せ、この手でみんなを…………? 「……馬鹿馬鹿しい」 ……そんなことをしてなんになるんだ。 夢の中の私だって、自分の愚かな行動を悔いていたじゃないか。 それを知っているから、私は絶対にそんなことはしない。 …………。 ……もうやめよう。 せっかく気持ちを切り替えたつもりだったのに、またあの夢のことを考えるなんて……。 ……外の景色でも眺めて気分転換しようかな。 布団から出て、外を眺めるてみると…… 「あ……そっか。今日は……」 天には闇夜を照らすお月様。 しかも一月に一度しか拝めない、まん丸なお月様だ。 さっきまでの鬱屈とした気分が吹き飛ぶくらいの、とても綺麗な月。 うーん、こんなに立派なお月様を見ていると……。 (圭ちゃんに初めて会った日を思い出すな……) あの日は満月ではなかったけれど……今日と同じくらいに、とても綺麗な月夜だった。 よく覚えている。 一晩中、銀色のお月様を眺めていたから、よく覚えている……。 圭ちゃんの言葉が頭から離れなくて……胸の高鳴りが収まらなくて……ずっと月を見ていた。 「まさかねぇ……圭ちゃんが私を好きになるだなんて。そんなこと考えてもいなかったからなぁ……」 あの日、圭ちゃんと肌を重ねて。 思い出だけをもらって、圭ちゃんのことは忘れようと思った。 どうせ誰かを好きになったって、恋が叶うことはないんだから……。 だから、悟史くんのことも圭ちゃんのことも忘れて……もう二度と恋をしないと決めたのに。 それを圭ちゃんが、たった一言であっさりと吹き飛ばしてしまった。 ……あの頃の私は、自分の気持ちしか考えていなかった。 誰かが私を好きになるなんて考えていなかったし、それが誰かを好きになるのと同じくらいに幸せなことだなんて、全然知らなかった。 以前の私は、愛情は与えるだけの物だと思っていた。 ……でも、本当はそうじゃない。 愛情はお互いに与え合って育んでいく物だ。 私が与えた愛情を圭ちゃんから返して貰うと、私が与えた時よりも一回り大きくなって返ってくる。 それを何度も繰り返していたら……圭ちゃんへの気持ちは、抱えきれないほど大きくなっていた。 それはいつの間にか、悟史くんに対しての気持ちよりも……。 「……悟史くん、早く帰って来ないかなぁ……」 悟史くんには話したいことがたくさんある。 ちゃんとした自己紹介だってしたいし、一年間も沙都子を放っておいたことも謝りたい。 それに……確かめたい。 私の圭ちゃんへの想いが、偽物なんかじゃないって……確かめたい…………。 「……………………」 目を覚ましてからどれほど経つのだろうか。 十分か、二十分か。 それとも、まだ五分程度なのか。 いずれにせよ、このまま仰向けで天井を見つめていてもしょうがない。 一緒に眠っていたはずの人物の気配はまったく感じられない。 既に階下へ行ってしまったのだろう。 「……なんで起こしてくれないんだよ」 泊まりに来るときはいつも先に目を覚まし、俺を起こしてくれていたのに。 花柄の可愛らしいパジャマ姿で、圭ちゃん圭ちゃん起きてください、って……。 「ハァ……」 あのパジャマ、よく似合ってるから好きなのに。 あれを着た詩音に起こしてもらうのが、詩音が泊まりに来たときの、俺の密かな楽しみだったのに。 ……ま、愚痴っててもしょうがない。 ガバ、っと勢いよく跳ね起き、おぼつかない足取りで自室を後にする。 一階へ下りて詩音を探しに……って、その前に顔を洗わないとな。 洗面所へ向かって歩いていたら……いきなり背後から抱きつかれた。 「だぁ~れだ☆」 「…………は?」 そいつは俺の背中に、大きくて柔らかい何かを押しつけている……。 誰って……こんな事をするヤツはひとりしか居ないだろ。 ……おいおい、まさかこんな事をするからって、俺を起こしてくれなかったのかよ……? なんかちょっと悲しくなるが、問われているのだから答えねばなるまい。 「……詩音だろ? 分かったから放してくれよ……」 「ぶーーーッ!! はっずれーーー!!」 「ハズレでもなんでもいいからさ。早く放し……。…………ハズレ?」 ハズレって……詩音じゃない? 詩音じゃないとしたら、……誰なんだよ?! 慌てて拘束を振りほどき、相手の顔を…………。 「……魅音……?」 「おっはよ! ……なんか寝ぼけてるみたいだけど、大丈夫?」 「…………ちょっと待ってくれ。ってことは、俺の背中に胸を押しつけていたのは……」 「私だけど? いや、レナがね。圭一くんなんて、魅ぃちゃんが背中におっぱいを押しつければイチコロだよぅ、なんて言うからさぁ」 「レ、レ、レナぁああぁあああッッ!!!」 「はぅっ!?」 声のした方に視線を向けると、戸の隙間からレナがこちらを覗いていた。 またか……レナのヤツめぇ…… いつもいつも、魅音を使って俺で遊びやがってぇぇえええ……ッ!! こちらの様子に気づいたレナは、一目散に逃げ出した。 「レナ、待てこらっ!! 毎度毎度、魅音にいらんことを吹き込みやがって!! 今日という今日は許さんッ!!」 「はぅ~! 圭一くんが怖いよ~ぅ!! 怒らないでぇ~~!! 軽いジョークなのに~~!!」 泣きわめくレナを全速で追い回す。 家中を逃げ回った挙げ句、レナは台所へと逃げ込んだ。 レナを追いかけて、台所へ入ると……。 「ちょ、ちょっと、レナさん!? どうしたんですか……?」 「……は、はぅぅ……」 詩音がエプロン姿でフライパンを持っている。 ……どうやら朝食の準備をしていたようだ。 レナはというと、詩音の後ろに隠れてプルプルと震えている。 「……圭ちゃん。これはどういうことですか?」 「どうって……。いや、レナが……」 「この怯え方は普通じゃないです!! まさか圭ちゃん……レナさんに変なコトをしようとしたんじゃないでしょうね……?」 「はぁ!? ち、違う!! 俺はそんなことは……」 「はぅぅ、詩ぃちゃん、違うの~。圭一くんがレナを追いかけてきて、それとおっぱい……」 「ちょ、レナ?! 誤解を与えるような言い方をするな!!」 詩音の手からフライパンがこぼれ落ち、からぁん、と乾いた音を立てる。 「ま、待て、詩音……。落ち着け……」 詩音の顔から表情が消えていく……。 そして、音もなく、ゆっくりと俺に歩み寄ってきた。 ……あぁ、もう、なんでこうなるんだよ。 せっかくの日曜日だってのに、……今日は最悪の一日になるかもな……。 「……圭一くん、ごめんね。レナが悪かったよ。はぅ~……」 向かいの席に座ったレナは、本当に申し訳なさそうな表情でうな垂れている。 レナは本当に冗談半分だったのだろう。 俺を怒らせてしまったと思って、心から謝罪しようとしているのがよく解る。 それに引き替え、こいつらは……。 「圭ちゃん。もう許してあげなよ? レナだって素直に謝ってるじゃん」 「そうですよ。こんなに落ち込んだレナさんを見て、可哀想だとは思わないんですか?」 「…………お前らが言うな……」 実行犯のくせに全く反省していないな、二人とも。 「機嫌直してぇ……レナの卵焼きあげるからぁ~……」 レナはそう言い、うるうるした瞳で小皿を差し出している……。 なんか、揃いも揃って俺が怒っていると勘違いしているらしい。 「……別に怒ってるわけじゃないよ。誰かさんのせいで頭が痛いから黙ってるだけだ」 「あ、あぁ……そういうことですか……。あはは……」 詩音が引きつった表情で笑う。 ったく、少しは手加減しろってんだ。 床がコンクリートだったら死んでいたぞ。 「いやぁ、それにしても見事なパイルドライバーだったねぇ。きれ~~いに突き刺さっていたよ」 「……だろうな。半年くらい前に亡くなった親戚のおばあさんが、川の向こうで手招きしていたし。優しい人だったから、つい渡ろうとしてしまったよ」 「け、圭一くん……。それ、渡らなくて良かったよ。はぅぅ……」 「あは、はは……。そんな大袈裟なぁ……。………………。……あの、圭ちゃん?」 「なんだよ?」 「その…………ごめんなさい……」 詩音は俺に深々と頭を下げる……。 「だからもう怒ってないってば。誤解だって解ってもらえたし、それに……」 「……それに……?」 「……いや、なんでもない」 ……役得もあったしな。 …………今日は白か…………。 「……ちょっとさ、ト……顔洗ってくるよ。なんか頭がボンヤリするし」 「ホント? それなら冷たい水でスッキリした方がいいかもね」 「……あぁ、スッキリしてくる……」 「そういうわけだから。大金が掛かってるし、気合い入れてよね~?」 四人で仲良く朝食を取り終えると、魅音が俺の家に訪問した理由を説明してくれた。 なんでも例のゲーム大会の決勝戦が、実は今日だった、というのだ。 「まぁ、事情は分かったけどさ。それならそれで、もっと早く教えてくれれば良かったのに」 「いやぁ、ごめんごめん! うっかりしててさぁ。昨日の晩に思い出して、他のみんなには電話したんだよ。でも、圭ちゃんの家だけ繋がらなくて。何度も電話したんだけどねぇ~」 「……そういうことか」 ……なるほど、俺の家に繋がらないのは当然だ。 何故なら昨晩、俺と詩音は……。 「あ、もしかして……お楽しみ中だった……?」 「み、魅ぃちゃん!? そんなこと聞いちゃダメだよぅ!!」 「まぁな。なかなかうまかったよ」 「け、けけ、圭一くん?! うまかったって……そ、そんな言い方は詩ぃちゃんに失礼なんだよ!!?」 「へっ? そんなこと無いですよ。私が紹介したわけですし、おいしいって言われれば嬉しいです」 「し、詩ぃちゃんの紹介?! それじゃあ……詩ぃちゃん公認の浮気?! は、はぅぅ……」 「……おい、レナ。なんか勘違いしてないか? 俺と詩音はカレーを食べに行っただけだぞ」 「えっ!?」 「前に私と食べに行ったお店でしょ? 今度は圭ちゃんと一緒に来よう、って言ってたよね」 「そ、そうなんだ……。レナ、勘違いしちゃったよ……」 レナは、えへへー、と照れくさそうに頭を掻く。 とんでもない勘違いだぞ、ホントに。 まぁ何にせよ、だ。 臨時収入の可能性があるのは、素直に嬉しい。 それなりに高価な人形を二つも買ったせいで、圭一王国の財政状況は火の車なのだ。 「ところでさ、圭ちゃん。私だけ優勝しても自分のお金が返ってくるだけ、ってのは不公平だと思わない?」 「ん? いや、まぁ。それもそうだな」 「だからさ。私が優勝したら……」 「魅音が優勝したら……?」 「圭ちゃんには…………私とデートしてもらうッ!!」 「………………は……? ……な、ななな!??」 お、俺が魅音とデートぉ!? ちょ、ちょっと待て!! 「そんなのダメに決まってるだろ!? そうだろ詩音?!」 「別にいいんじゃないですか? 圭ちゃんが優勝すればいいわけですし」 「そういう問題じゃないだろっ!?」 「そうそう。圭ちゃんが優勝すれば、なぁーんにも問題ないよ。……それとも何? もしかして自信が無いわけぇ?」 「はぁ!? そんなわけねぇだろ!! 俺が本気になれば、ぶっちぎりで優勝だ!! お前らには影すら踏ませねぇ!!」 「よし、それじゃ決まりだね! いやぁ、想像しただけでわくわくするよ。おじさんにドギマギする圭ちゃんをからかうのは、さぞかし楽しいだろうねぇ」 「ほざきやがれ……! 優勝するのは俺だッ!!」 魅音とにらみ合い、バチバチと火花を散らす。 ……なんか勢いでとんでもない約束をしてしまったが、本当にいいのか……? まぁいずれにせよ、これ以上は小遣いの前借りも出来ないだろうし、何が何でも優勝するしかない。 さすがに交際費を女の子にだけ払わせるのは、男として問題があるしな。 …………俺もバイトしようかなぁ……。 「ところでお姉。沙都子と梨花ちゃまは診療所に寄ってから来るんですよね?」 「ん? そう聞いてるけど」 「それなら、私も診療所に行きます。お姉たちは先に行っててください」 「……どうした? 具合でも悪いのか?」 「いえ、そういうんじゃないです。最近、監督の沙都子を見る目がいやらしい気がするので、監視しておきたいんです」 「それはいつもの事だと思うけどな……」 「診療所に行くなら、そろそろ向かった方がいいよ。沙都子たちも家を出る頃だと思うし」 「あれ? 詩ぃちゃん、もう出ちゃうの? お茶を煎れようと思ってたんだけど……」 おぼんを持ったレナが、残念そうな顔をしている。 さっきフラっとどこかへ行ったと思ったら、台所へ行っていたのか。 「あ、いえ。せっかくですから、お茶をいただいてから出発します」 「ホント? 良かったぁ~」 レナは笑顔を取り戻し、湯飲みを配り、順々にお茶を注ぎ始めた。 ……しかし、当然のようにお茶を用意するレナってのもあれだな。 勝手知ったる人の家、って感じだ。 お袋と仲良いもんなぁ……。 「ん……? あれ? ちょっとちょっと! みんな、これ見てこれっ!!」 なんか魅音が湯飲みを指さしている。 みんなで覗いてみると……。 「お……茶柱か。珍しいな」 「へっへー! 幸先いいね!! こりゃあ、優勝はおじさんで決まりかな!!」 「ふん、そんなので優勝が決まってたまるかよ……って、ちょっと待て。俺のも茶柱が立ってるぞ」 「ふぇ!? ホント?」 「へぇ、二人も一緒にだなんて珍しい……あれ? 私のも立ってますよ」 「レナのも立ってるよ」 ……静寂が場を支配する。 おいおい、いくらなんでも全員が茶柱を立てるなんて出来すぎだろ……? 「これはただ事じゃないね……。なにかとんでもないお宝でも見つかるんじゃない? レナ御用達のゴミ山辺りから」 「なんだなんだ? 徳川埋蔵金でも見つかるのか?」 「徳川埋蔵金じゃなくても、大判小判がざっくざく、くらいはあるかもしれませんね~」 「はぅ……。かぁいい招き猫なら、この間見つけたけど……」 ……埋蔵金は冗談にしても、みんなに喜ばしい事が起こるのは間違いなさそうだな。 しかし、ここに居る全員にとって嬉しいことって、一体なんなんだ……? 「あら? 珍しいですわね。二人揃ってだなんて」 少女は、自らがお茶を注いだふたつの湯飲みを見比べながら、そう言った。 それに対し、彼女の同居人は沈黙を保っている。 「吉兆ですわ! 今日のゲーム大会は、私か梨花の優勝で決まりですわね!!」 「…………」 「圭一さんや魅音さん、レナさんも、みんなみーんな私のトラップで血祭りに上げて差し上げますわーッ!! ……梨花ぁ? どうしたんでございますの?」 長髪の少女は答えない。 ただただ、笑顔だけを浮かべている……。 「昨日から変ですわよ? ずーっとニヤニヤしてて。変なモノでも食べたのでございますの?」 「沙都子。この茶柱は、神様からのご褒美なのです」 「……ご褒美?」 「そうなのです。沙都子が強くなったから……ひとりで頑張ってきたから、神様がご褒美をくれたのです」 「よく分かりませんけど、ご褒美が茶柱だけだなんて、神様もしみったれてますわね」 「そんな事はないのですよ……」 長髪の少女は笑顔を絶やさない……。 彼女だけが知っている。 近い将来、親友が喜びのあまり泣き崩れることを。 近い将来、親友がこの家を出て行ってしまうことを…… 彼女だけが知っている……。 To Be Continued... Chapter-1 Hold me tight Chapter-2 アンダースタンド1
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RT(疑心暗鬼モード) RT中の演出と期待度 150G完走RTについて150GRTのフローチャート 前原圭一が大石刑事と同じ内容(数パターン有)の話を延々と長電話する。 RTの純増は約0.75枚/G ループ率は約50%(設定差は誤差) 30G/50G/90G/150Gの完走型RT CZで入賞した突入契機小役によって継続するゲーム数が異なる。 ○30G リプレイ・ベル・リプレイの入賞(レベルアップ失敗時) ○50G オレンジ・ベル・リプレイの入賞(レベルアップ成功時) ○90G チェリー入賞時(※取りこぼした場合は非突入) ○150G ボーナスが成立 RTの演出と期待度 RT中にレア小役(チェリー、スイカ、1枚役)とハズレが成立すると効果音+パネルフラッシュと共に ○会話の文字が赤くなる ○圭一の後ろの襖が開く →ヒロインが出現 微笑を浮かべるとチャンス 竜宮レナ<園崎魅音<北条沙都子<古手梨花の順にボーナスの期待度が高い。 ○液晶左「綿流し祭」ランプの色で期待度を示唆 白<青<黄<緑<赤<虹の順に期待度が高く、順序が矛盾するとチャンス ○RT残り5Gの演出で大石刑事から竜宮レナが取調べを受けていればチャンス ○RTラスト1Gに登場するヒロインがエンジェルモートの制服ならボーナス確定 RT中レバーONでBGMが「Friend」に変わり「綿流し祭」ランプが虹色になるとBIG確定。 ※変化タイミングの詳細は不明。BIG成立後毎ゲーム数%で抽選を行っていると思われる。 (残り10G以降は共通パターンに入るので変化はしない?) 150G完走RT 150G完走RTはO-BIG/N-BIG後のCZ-Aでしか発生しない。 各BIG終了後に突入するCZ-Aはこちらで前述してあるよう150Gの内部RTとなっている。 なので10枚役入賞で30G or 50Gに、チェリー入賞で90GのRTに短縮されてしまうと考えてもらうと解り易いだろうか。 そこで10枚役、チェリーより先にボーナスを成立させることで150G完走させてもらえる。 CZ-A中にボーナス成立しても告知をせず、そのままRT突入小役が入賞するまで継続する。 RT完走後、前回BIG消化から数えて150GまでRTが追加されると同時に BGMが「You」に変化+「綿流し祭」ランプが虹色になる。(BIG確定ではない。) ※注意点:RT中はボーナスを入賞させないように注意しながら打つ事が必要。 入賞させてしまうと残りのRTを完走しないままボーナスゲームになる為もったい無い。 ただし閉店間際であったり、急ぎの用があるならば入賞させる事をお勧めする。 それと当然だが「You」と「Friend」は同時に流れない。 150G完走RTのフローチャート (【】内はBIG消化後から数えたG数) ※一例です。 OYASHIRO-BIG消化 ↓ CZ-A突入 →【15G】1枚役+ボーナス成立 ↓ 【22G】10枚役A(50G完走RT) → 【72G】RT完走 ↓ 「You」+ランプ虹 ↓ 150-72=78Gの完走RT突入 ↓ 【150G】ボーナス確定
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夜の帳が下り始めてくる頃。 涼しげな音と風の取り巻く古手神社の境内にひとりの少女がいた。紫雲のような髪がふわりと浮いては 頭に見える角を見え隠れさせる。 少女は竹箒を手に持って空を見上げたまま、じっと静止していた。 上腕部分を露出した奇妙な装いの巫女服ではあったけれど、神社を背景にしたその少女の姿はいかにもといった感じで神聖な雰囲気を醸し出している。柔和な微笑みがそれを助長して近寄りがたくも見蕩れる姿と なってそこにあった。 ふと少女の顔が赤くなって、同時に竹箒を胸に抱え込むようにした。 (あぅあぅ……困るのです困るのです……) かすかに色を残す夕陽に当てられたわけでもあるまいに、少女の頬は遠めからでも分かるほど上気していた。 そして躊躇いがちに周囲を見渡すと、そそくさと神社の裏へと向かった。 穏やかに流れる時間を太陽の沈む軌跡に重ね合わせながら、ゆったりとした散歩を楽しむ少年がいた。途切れ途切れに歩を進める様がそれをよく表していて、気になるものを見つけては何度も立ち止まっている。 真っ赤なノースリーブのシャツとこげ茶色のハーフズボンは、少年らしく明るさと活発さを強調して見えるが、どうにも風格のある歩き方が少し違和感を生み出しているようだった。もっとも当の少年はそれを欠 片も気にしていないようではあったが。 (たまにはこういうのも悪くないな) 夕焼けに滲む空を見上げながら長く長く伸びた影を伴って進んでいく。 (そうだ、あの景色を見にいこう) 散歩にありがちな気まぐれさを指針として少年は目的地を決めた。 遠く目を細めた先にひっそりと佇む古手神社。 (困るのです困るのです……) 雑草の生い茂る神社の裏。 少女は、そこに数個積まれていた金ダライの上に腰掛けている。竹箒を相変わらず硬く抱きしめながら、心底困惑している顔を浮かべていた。 何か溢れ出しそうなものをこらえて、身体をぎゅっと丸める。恥ずかしさと、かすかな怯えとが入り混じって非常に頼りない表情になっている。関係はないのだろうが、帳の下りた裏山に蠢く木々たちを恐れているようにも見えた。 数分、どこを眺めるまでもなくぶるぶると身体を震わせていた少女は、やがてうっすらと涙の浮かぶ瞳を開いた。すると、はぁぁ……と恐る恐るといった様子で吐いた息に、わずかに出した舌先を絡 ませてそこからぽたりと一つ唾液を落とす。 火照った顔は、打って変わって、たがが緩んだように妖艶な微笑をかたどっていく。 少女は竹箒を股の間に挟みこんでこすり付けていた。 (ん? 今何か……) 境内へと続く階段を上り終わり、雛見沢が一望できる場所に向かおうとした少年は、ひぐらしの鳴き声ではない音を耳に捉えた気がして立ち止まった。 (気のせいか……) と思った矢先、また聞こえた。 もう陽の落ちそうな時間、寄り道をしていては目的である景色を見ることはできない。 それでも気になった少年は、何を思うでもなく神社の裏へと足を向けた。 「あぅっ……はぁぅ……あぁぅっ」 股間を弄る手法を竹箒から自分の手に変えた少女は、声を隠そうともせず、その行為に没頭していた。少女にとっては性器から得られる刺激が限りなく大きくて、声などさほど問題にしていないのだろう。口の端から涎を垂らして時折舐めとる、その間も絶やさない笑顔からも、快感に身を溺れさせているのがありありと分かる。 熱い感情がじわじわ上り詰めていくにつれて、袴を通り越し、じかに性器をいじりたいと思い始める。袴の紐を雑に緩めて手を滑り込ませた。篭った熱気が指の付け根を軽く刺激して、鳥肌が立った。 「はっ、あぁ……! ぅんぅ……っ」 顔を横向けて、最初のあまりにも過敏な反応に備えて目を閉じる。その反応が過ぎ去ると、一瞬満足そうな笑顔を浮かべて脱力する。軽く達したのか、両膝を突きあわせたまま宙に浮いた脚がびくっと何度か跳ねた。 それでも少女の手は止まることなくさらに奥へと導かれていく。 何故か竹箒は脇の下に挟んだまま手放そうとしていなかった。 「誰かいるのかー……」 「あぅ!?」 「ん? 羽入? って……」 「け、圭一……」 BOY MEETS GIRL─果たして、少年と少女は出くわした。 「…………」 「…………」 押し黙る圭一と呼ばれる少年と羽入と呼ばれた少女。 沈黙がやぶ蚊のように二人の間を飛び交っていた。 「あ……」 先に口を開いたのは羽入だった。 「あぅあぅ……」 が、これは文字通り口を開いただけだった。状況の進展になっていない。 恥じらい戸惑う羽入の姿は、実は最初はそうと分かっていなかった状況を圭一に的確に判断させるものとなった。顔が赤くなる。 「じゃ、邪魔したみたいだな……」 混乱の中、咄嗟に口を突いた言葉は逃げるための言い訳だった。 きまりが悪いのは間違いなく圭一で、その居た堪れなさから導き出した次の行動。 「そ、それじゃ」 「あ、まっ……け、圭一っ」 「うわっ!?」 何となく逃げられては困ると判断した羽入が圭一のシャツを掴み、引き倒した。 袴が不自然にずれた羽入が、別段そんな意図はなかったようだが圭一の上に乗ってしまう。もう言い訳などできない格好だった。 どうせ見られたのだ。 このまま帰すと明日から気まずくなりそうだし、何より羽入は圭一の邪魔によりまだ達していない。最近身体が疼くので行っていた自慰だがそろそろ回数を増やすだけでは満足できなくなってきたというのもある。 これは責任をとってもらうべきだ、と羽入は決断した。 これから圭一に協力を求めるに当たって自己本位の欲望が多数を占める言い訳だった。 目下、男、という存在があるせいで自慰の名残以上に蕩けた頭でそう考えた羽入は、勿論それに気づいていない。 戸惑いによる瞳の揺らぎは完全になくなり、座っている。 そんな羽入の思惑などつゆも知らず、圭一は今とられているマウントポジションをどうにかして解こうとする。 「あぁうぅ……」 「…………」 圭一がじたばた暴れたせいで羽入の敏感な身体に刺激が与えられる。 色っぽい吐息を聞いて思わず硬直する圭一だった。 「あぅあぅ……圭一ぃ……」 羽入が圭一の手を取り、胸を掴ませる。 「な――っ!?」 「あぅっ……」 反射的に引っ込められた圭一の手を身体に折り重なるように追いかけて舐める。手首から上に向かって、分かりやすい目標である手相を舌でなぞっていき、指の付け根、腹、指先と口に含んだ。 「んちゅ…んむ……っくしゅんっ!」 「…………」 「あぅあぅ、ここが外だってことを忘れていたのです。圭一、神社の中に入るのです」 「…………」 「……しょうがないのです……。こういう経験は初めてだったのですね。大丈夫なのですよ、ボクがちゃんと教えてあげますですから……あぅあぅ♪」 うきうきと言って呆然自失する圭一を引きずっていった。 「はっ? ここはっ? ……ってなんじゃこりゃー!」 圭一が目を覚ました(気絶していたらしい)場所は、普段、村の寄合という名の飲み会が開かれる古手神社の大広間だった。雛見沢分校の教室ほどもある畳敷きの部屋の中央、ぽつんと敷かれた布団の中にいた。 「おいおい……っうぅっ!?」 男としてなかなか様になる怪訝な表情が一瞬で掻き消えて、情けない声を出す。 「んむ。圭一、起きたのですか? というかあれくらいで失神するなんて先が思いやられるのですよ。もっと頑張ってくださいのです。あぅあぅんちゅ」 「うあ!?は、羽入か……! 何してやがるっ……」 圭一は全裸だった。衣服は枕元に丁寧に畳まれており(ちゃっかり枕が二つある)、下半身だけを隠した掛け布団が一人分盛り上がっている。 そこに羽入が入っているのだった。 圭一の質問への答えは性器をしごく速度を上げることでそれとする。 「んぁむ、ちゅぱっ ぁむんっ」 「くっ、うぁっ!」 状況ではなく快感に頭がついていっている圭一は羽入の行為を拒めない。 びくつく腰が掛け布団を跳ね除けていく。 熱心に頭を動かす羽入は、圭一のように裸ではなく巫女服のままだった。 「あぅー…びくびくしているのです~。圭一。今は起きてるのですから射精そうになったらちゃんと言ってくださいなのですよ~……ぺろ」 うっとりとした表情で尿道付近を嘗め回しながら上目遣いで圭一を見つめる。 「い、今ってなんだよっ!」 当然のごとくその問いは無視して行為に没頭する。 右手で陰嚢を弄びながら左手の親指で裏筋を押し上げるようにして刺激を与えていく。 亀頭はカリ部分にちょうど唇が当たるようにして口に含んでいた。口内では小さな舌が忙しなく動き回って射精を促そうとする。 「で、射精るっ――!」 それを聞いて、羽入は喉奥まで性器をくわえ込む。 勢いよく発射された精液が咽喉を打つ。その刺激で嘔吐感が込み上げてくるが、しゃくりあげることでそれを抑えた。必然的に精飲行為をしなければならなかった。勿論羽入にとってはそれが目的であったわけだけれども。 「くあっ……う……あ」 随分長い射精時間だった。 一人でするときとは出る量が違う。搾り取られるような感覚に何もかもがどうでもよくなってくる。何か既視感のようなものがあったことにわずかに疑問を持つがそれすらも…。 「ふはっ。二回目なのに凄い量なのです。あぅあぅ」 「二回目なのかよ!?」 どうでもよくならなかった。寝ている間に一度抜かれていたようだ。 「あぅあぅ、美味しいのですよ」 羽入が圭一の上に跨る。 「……なんでこんなことに?」 「気にしたら負けなのですよ」 「何に?」 「ボクに」 どういう理屈だろうか、と羽入を見上げつつ思う圭一。そこでいつの間にかこの状況に慣れてしまっている自分に気づいた。突っ込み所は色々あるに違いなかったが、まぁいいか、という気持ちの方が大きくて今更何をどうしようという気も起きない。 こういうことは初めてで、恥ずかしさと緊張から何もできなくなるほど混乱するものだと考えていたのだが、羽入のあけっぴろげな雰囲気に圭一も少なからず影響を受けたようである。 「さ、ボクに勝ってくださいなのです」 巫女服の上着を脱いで乳房を露出させる。 「知らないことはボクが教えてあげるのです。ただ男女の性交において、極論挿入だけを覚えていれば問題はないのです。それ以外えっちに普遍性はなく……ボクが圭一に教えてあげられるのはボクが感じる場所だけなのです。できれば、それを見つけていってほしいと願うのですが……、無理は言わないのです……あぅっ?」 圭一が羽入の胸に触れる。 くすぐったそうにして圭一を見咎めるが、表情は悦んでいた。 「あぅあぅ……でも、圭一が欲望そのままにボクを犯してくれれば……自然と分かりますです。そういうものなのです」 「えらく経験ありそうな物言いじゃねぇか」 「あるのですよ」 さすがに予想していなかった答えのようで、圭一は動作を止めた。驚愕に顔を作ったまま。そして聞いてしまった。 「だ、誰と……?」 「……そういうことを聞くからみんなにデリカシーがないって言われるのです」 「いや、その…すまん。まさか、と思って」 「女の子には色々あるのですよ。あぅあぅ」 「勝てる気がしないんだが……」 女性遍歴としては中学生らしくゼロに近く、性交も知識としてしか知らない行為。それをどう見ても自分より年下である羽入が経験していたことに、殊にこの状況下ではどうしようもない差を感じたからだった。 「あぅ? 圭一にしては珍しく弱気なのです? いつもの部活みたいに欲望むき出し、下種丸出しであればいいのですよ?」 「あー凹んだ萎えた、泣いたよこのやろー。というかお前そんなキャラだったっけー?」 「もう。しょうがないのですね、あぅあぅ。ボクが勝手にやってしまうのです。でも圭一にもたくさん触ってほしいのですよ?」 「あーもう! わかったよっ」 羽入と体勢を入れ替える。 改めて認める、胸をはだけた羽入。袴の赤が目に痛いのに対して羽入の肌は真っ白で。髪の毛はどこか見るものを落ち着かせるような紫の色。先ほど触って感じた掌に収まる柔らかさを再び手にする。ふよふよとして中心の突起がつぼ押しみたいになって気持ちがいい。 「あっ、あっ、あぁぅ」 なぜ自分だけ裸にしておいて羽入は服を着たままなのか、少し気にしたが脱がすことに醍醐味を感じる圭一(と言っても妄想の中でだけだったが)としては悪くなかったようだ。 まさかそこまで考えていたのだろうか、という圭一の思いつきもどこ吹く風、羽入は胸を揉まれる感触に酔いしれているようだった。 そのうち羽入が愛撫だけでは物足りなそうな表情で圭一を見つめていたので、恐る恐る自分の粘膜をきめ細やかな肌に馴染ませていく。乳房を掌で弾ませながら、それの描くラインを目で追う。遅れて舌先が綺麗な円形を辿っていく。 「あぅ……んぅっ……はっ、あっ……」 羽入の喘ぎ声を耳に心地よく聞く。 二度射精した圭一の性器もだんだんと回復し、膨張していった。 「圭一……、下も……」 「あ、ああ」 と応えても袴をどう脱がせばいいのか分からなかった。 それに気づいてか羽入が自分で袴を下ろしていく。その間圭一は成り行きを見守っていたが、羽入は快感の並みが途切れたことがもどかしかったのか圭一に抱きついてキスをした。 「ふぁぅん……むぅ…あむ……ちゅ……」 「んんんっ」 唇を奪いつつ袴を脱ぎすてて再び圭一の上に乗る格好になる。 圭一は、絶え間なく口内を満たそうとする羽入の小さな舌、吐息、唾液に狂おしいまでの興奮を覚えた。羽入もそうである様子がキスを通して伝わってくる。あまりに深く底のない性欲に恐怖と同時、どこまででもというその場の快感のみを求める思春期特有の感情が湧き上がった。 唾液の糸が、今本能的に危なっかしい二人の様子を象徴しているように、刹那の煌きを持って互いをつなぐ。 視覚が目の前の相手以外の全てを除くことで羽入に、圭一に集中され、心身を焦がすような瞳でもって二人は次の行への意思確認をする。 圭一は全裸だったが、羽入は足袋だけを未だ脱がずにいた。脱ぐ気もないようだった。 羽入は蕩けるような表情で圭一の性器を見つめていたがすぐに挿入させることはなかった。股を圭一の方に向けるようにして手で身体を支える。そそり立つ性器に擦り合わせると、キスよりも淫靡な音が広い部屋に木霊していく。圭一はその響きように少し恥ずかしさを覚えたようだったが、羽入は気にしていなかった。 「あぅ……あぅ……あぅっ、き、もちいい…のですぅっ」 「お、俺も気持ちいい、ぞ……くっ」 羽入が腰を上に動かすたび、亀頭が陰核に引っかかり一際鋭い刺激となった。 乳首、陰核の控えめな自己主張の割りにはそのうちにとんでもない欲を隠している。 とりあえず羽入を通して見た世間一般の女の子のイメージが圭一の中でそう固まった。 (男だけじゃないんだな……) そう思う間に、羽入の、ひくひくと開きかけた陰唇から大量の愛液が流れ出ていた。それが潤滑油となったのは言うまでもなく、同様に羽入の腰の上下運動が激しくなったのも言うまでもない。そして快感も。 全てが連鎖反応。 終わるには、そろそろ堪えきれなくなってきた絶頂の瞬間を迎えるしかないのだが。 真正面、髪の毛を振り乱し悦楽に酔いしれる羽入にはまだ余裕がありそうだったので、もう少し我慢するしかなかった。 「あっ、はぁんっ、け、いいちぃ……、我慢し、なくてっあっ、いいのっですよ……?あぅっ」 圭一の心中はこんなときでも羽入に感づかれるらしい。 そのことに驚きはなく、むしろその言葉によってますます自分が先に達するわけにはいかなかった。もはや意地だけで耐えている様子だった。 「はっ、言ってろっ……。羽入、こそっそろそろやばいんじゃねぇのかっ?」 腰の動きは止めず、羽入は圭一を妖艶な表情でもって見る。その中に、何かを探るような顔色が浮かび、やがてそれは何かが満ち足りた微笑になった。 普段とのギャップを感じさせるその顔に心を奪われそうになった圭一は、危うく射精してしまいそうになった。どうにか堪えて今まで以上に気を張った。そこでようやく、吐息や水音から漂ってくる羽入という女の匂いを感じ取った。 胸を掻き毟られるような思いが頭に昇っていく。 「んっ、んっ、んぅっ……。そんなこと言っていいのですか……圭一?」 そう言って羽入が腰を休めたので、耐えられた。 「あぅあぅ……こんなにびくびくして苦しそうなのに、まだイかないなんて……なかなかなのです……。よっぽどボクの中で果てたいのですね、あぅあぅ。挿入なしでもう一度イってもらおうと思っていたのですが……」 圭一の性器を左手で掴み、右手で自分の秘唇を押し広げる。 ぬちゃ……と艶かしく垂れた羽入の愛液が先端から圭一のものを濡らしていく。 羽入はそれを見ず、圭一だけに視線を送る。吸い込まれそうだと圭一が思ったのは、この状況下では的外れではなかった。 そしてそう思った時点で。 「すぐにイっちゃっても知らないのですよ……?」 来る快楽に心身全てを持っていかれるのは当然だった。 「ぐっ!? あぁああああっ!?」 「あぅっぁあうぅぅっ!」 躊躇なく羽入の膣へとその存在を埋められた圭一の性器は、四方八方から羽入の締まりによって激しく責められ、自然逃げ場もなく、先が奥に到達したと同時に精を吐き出した。 何度か痙攣しながら絶頂を味わう。 羽入も圭一ほどではないが身体を震わせていた。 結合部分からあふれ出してくる白濁液の量が半端でなかった。 「はぁぅ……圭一、すごいのです……。すごい量と勢いなのです……。図らずもボクも軽く達してしまったのですよ、あぅ……」 恍惚とした表情に大量の汗が光る。 「あぅっ、まだ出る……のです……はぁ」 夢うつつといった瞳で圭一を見つめる。 「はっ、はっ、はあっ」 ようやく射精の収まった圭一が一気に脱力して呼吸を整え始める。 「だから言ったのですよ、あぅあぅ」 と、能力をわきまえず、人の忠告も聞かず背伸びをした子どもに現実を見せることでしか考え違いを直せなかった自分を心苦しく思いつつ、 「大丈夫ですか……圭一?」 最後は優しく窘めるように語り掛ける羽入だった。 たとえでもなんでもなく子どもはまるっきり圭一だった。それに気づいて、今更ながら羽入の男女関係における優位性を実感として得た。完全に負けた気分だった。 「あぁ……、まさかあんなにどうしようもなく気持ちいいものだとは……」 だから、自分を抑えることのできなかった感情を恥じることなく圭一は口にする。 「あぅあぅ。そう言ってもらえると嬉しいのです」 羽入は照れた笑顔を浮かべて応えた。 それを見て、ふっと疲れを滲ませて笑う圭一だった。 が、ここで何かがおかしいことに気づいた。 羽入が一向にどこうとしないのだ。圭一の性器は羽入の膣内に挿入されたままである。射精したのは三回目だし、量もとんでもなかった。すっかり硬さを失っている。羽入もそれは理解しているはずだった。 「羽入。終わったならどいてくれ」 「はいなのです」 「…………」 「あぅあぅ?」 面に満ち満ちる笑いの感情。 「羽入……?」 しかし圭一はそれをそのままの意味にとれなかった。 「まだ終わってないからどかないのです。あぅあぅ♪」 「…………」 ――もう一度元気にさせないといけないのです。あ、舐めた感じだと圭一は五回は問題なくいけると思うのです。だから安心するのです。あぅあぅ――。 楽しそうに解説する羽入の声を靄がかかったように頭の中で聞きながら、圭一はなぜ今日散歩に出てしまったんだと自分の行動を後悔していた。 大広間へと続く襖が僅かに隙間を作っていた。 「随分と楽しそうなことしてるじゃない……。羽入……圭一……くすくす」 暗闇に真っ黒な髪を溶け込ませている一人の少女。 邪悪に笑って誰にでもなく語りかける。無理に作っているようでもあった笑顔だった。 見ると、襖から漏れた明かりに床がてらてらと光っている。 少女の股間から垂れ落ちる滴が小さな泉に波紋を作った。 「はっ!? こここれは違うのよっ。べ、別に羽入と圭一のエッチ見て興奮したわけじゃないんだからねっ。お、お漏らしでもないわっ。これは、そ、そう! 涎よ涎! きき、聞いてるのーっ!?」 真っ赤な顔をして一人騒ぐ少女であった。 無論声は潜めていたのだが。 <続く> 羽入のポニテが見てみたい
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夏の終わり2の続きです。 ――――― 頭が真っ白になった。また、失敗…? また沙都子に知られてしまっていた? 沙都子が家を、出る?なんで?どうして?答えは分かってる、けど分かりたくない。 「どうして、って聞いてもいい、のですか…」 「どうして? 梨花は私の親友ではありませんか…、だから、ですわ」 「…言ってることが、よく分からないのですよ…」 ――分からないわけない、私が沙都子を追い詰めたって事くらい分かっている。 「…ごめんなさい、梨花」 「ごめんなさい…?何がごめんなさいなのですか…? 何か沙都子謝らなくてはならないことをしてしまったのですか? にゃーにゃーなのですか…っ!? だったらボクが一緒に―」 ――雛見沢での事なら御三家である私が何とかすることが出来る、沙都子を助けられる。だからいなくならないで。 「ごめんなさい」 「だから! 何がごめんなさいなのかって聞いてんのよ!! 親友だから家を出るって、何で!? 私のこと嫌いになった!? 何か悪いことした!? ねえ! 沙都子!!!」 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 壊れたレコードのように何度も何度もごめんなさいと言う沙都子にいい加減恐怖を超えて怒りを覚えた。 「ちょっと! 何よ、沙都子! 言ったじゃない、私の事すきだって! あれは嘘だったの!? ねえってば!」 「嘘なんかじゃありませんわ…嘘なわけありませんもの」 「じゃあなんで!? 私の事一人にしたっていいってこと!! 私の事どうでもいいってことなの!?」 「そんなわけ、ある、…はずも…な…」 沙都子が何を言いたいのか分からない。何で沙都子がすすり泣くのか分からない。 「何泣いてんのよ! こっちが泣きたいくらいよ!!」 「ううっ…ごめんなさい…梨花ぁ…っく…うううううぅぅっ」 「出て行くならちゃんと理由を言いなさいよ! …北条沙都子ッッ!!!!!」 もういつもの口調なんてどうでもいいくらい取り乱してる。でも止まらない。沙都子がいなくなる生活なんて強いられるくらいならこうやって駄々こねて意地でも沙都子と離れないようにしてやる! 「だって!!! 梨花は嫌でしょう! 私の事なんて!!!」 「はっ!?」 「私が梨花に思っている好きは、梨花が思っているような好きじゃないんですのよ…」 ――…え? 何? 「沙都子、何言って…」 「梨花を親友としてではなく…一人の人間として、恋愛対象として…好き」 「………………え…?」 「こんな、こんな感情おかしいって分かってるんですのよ、伝えたらきっと梨花に嫌われてしまうって事も分かってるんですの。だから梨花には知られたくなかったんです…」 ――何?沙都子…あなたもしかして私の心が読める…わけじゃないわよね…? 「え、沙都子、ごめ…もう一度言って…くれない? …なのですよ」 少しでも自分を取り戻そうといつもの口調に戻してみるも、どう考えても変な文法。ああ頭が上手く働かない。 「だからだから! 私、北条沙都子は!他の誰でもない梨花が、今目の前にいる女の子の古手梨花が好きなんですのよ!!!」 「………………………………え…っと…」 「ほら! やっぱり梨花も気持ち悪いってお思いなんでしょう!? おかしいですわよね、同性を好きになるなんて。だから伝えたくなかったんですわ、梨花に嫌われたくなくて、梨花と離れるのが…、何よりも、こわく…」 ――沙都子が、私を…好き? え、私今夢見てる、わけじゃないわよね… 「今まで冷たく当たってしまってごめんなさい、梨花が他の方と一緒にいるのが嫌だっただけなんですの。子供っぽいですわよね…気持ち悪いですわよね、親友だと思っていたモノに恋愛感情を抱かれていただなんて…嫌ですわよね、私の事…だから私」 「………」 ――100年も思い続けて、諦めようとして諦めきれないその想い…伝わってるっていうの? 「何とか言ってくださいましな、梨花…それとももう私と話したくもありません、か…そうですわよね、ごめんなさ―」 「好き」 「…え?」 「私、沙都子の事好き」 「―――梨花?」 「好き…好き…、私、も……っ沙都子の事が……っ大好き…!!!」 ――…夢じゃないわよね?ちゃんと私起きてるわよね…!ここにいる沙都子は本物よね…?! 「り、梨花ぁ? 私を思っての慰めだったら結構ですわよ……!」 えぐえぐと泣きながら抱きついている私の言葉に反抗する。ああ…もうバカ、バカバカバカバカ!!!! 「どうして信じてくれないの…どうやったら沙都子は信じてくれるのよ!」 「ぇ、ど、どうやったらって…わ、私人を好きになったのが初めてで…あのっ」 「何よ! この期に及んでまた私の事弄ぶつもり!? 私だって人を好きになったのはあんたが初めてなの!」 「…ち、ちが…え? 私が初めて…なんですの?」 「そうよ! 私は貴方がいなければもうとっくに死んでいたわ! 毎日が退屈でつまらなくてどうしようもなかった!私が今の今まで生きてきたのは、他の誰でもない沙都子がいてくれたからなんじゃないのよ! どうして気づかないの!」 「…ふぇ!? …ぇっと、梨花は赤坂さんが好きなのではございませんこと…?」 「誰がそんな事言ったの? 私? 私はそんな事言ってない、あんな温泉刑事沙都子になんか全然及ばないわよ!」 もう沙都子の言葉一つ一つ半狂乱になりながら答えるしかなかった。 「だって、だって…梨花…だって…」 「ああもう! 沙都子のバカ! 大バカ!! こんなにこんなに…あああーもうっ!!!!」 「り、梨花?」 突拍子もない声で私の名を呼ぶこの愛しいアクマの頭を抑える。きょとんとした顔付き、ああもうなんでこんなに可愛いんだろう…! 「こうしたら、信じてくれる?」 「ぇ?梨―ンッ」 唇を強引に押し付けるだけの、ムードのカケラもないキスをする。ある世界ではこれを無理矢理沙都子にしたら突き飛ばされたのよね…それを思い出して、どうか突き飛ばさないで欲しいと切実に祈った。ホント切実に。シュークリーム5個分くらい。頼むわよ!羽入! * 恐る恐る唇を離すと、祈りが通じたのか沙都子は俯いていた。 「さ、沙都子…どう…?私が沙都子をすきだって事…伝わった?」 「…え、えぇっと…あのその、えっと…」 「それとも嫌だった?」 「そんな!嬉しい、ですわ…とても、嬉しくて信じられませんのよ梨花」 「…私だって同じよ、まさかここでループというかもうなんかよくわからないけどとりあえず勝ち取れるなんて思ってもいなかったから」 「り、梨花の言っている事がイマイチ分かりませんけど、本当はこれは夢だったんじゃないのかってちょっと今は心配ですわ」 「これが夢だったら永遠に目覚めたくないわね…」 沙都子が照れ笑いのような不思議な笑い方をする。つられて私も笑う。 「…えぇ同感ですわ。ですから確認したいのですが、よろしいのでございましょうか?」 「確認て、なに―」 私が訪ねるか早いか、私の両頬に沙都子の両手が添えられる。ああ、気持ちいいな沙都子の肌はどこも…。 「私、梨花に触れるのが怖くて今までこうすることが出来なかったんですの」 「怖かった? どうして? 別に噛み付きやしないわよ、そりゃちょっとは今気が立ってるけど」 「…だって、触れてしまったら私」 「な、ん……ぅ…」 さっきの唇を強引に押し付けるようなものではなく、ただ優しいだけのキス。 「…こういう事、したくなってしまって自分を止められそうになかったんですもの」 「沙都子…」 沙都子ってこんな子だったっけ…どうしよ、可愛すぎる…。 「病院で暴れてしまってごめんなさい、怪我はありませんでしたか?」 「う、うん…それは別に…」 「もう、あのときから既に私は戻れないところまでいたのでございますわ」 「…え」 「私、梨花のこと誰よりも…好きですわよ」 そう優しく微笑む沙都子は今までで見たことがないくらい美しくて、言葉すらも出なかった。改めて惚れ直してしまった目の前にいる少女が愛しくてもうどうにもならなかった。 「梨花、…あの」 沙都子の口が私の名前を呼ぶだけで身体が疼いた。 「沙都子、好き…」 「ん、梨花ぁ…私も…好き、ですわょ…んむ」 最初はちゅっちゅっと音がなるくらいの軽い口付け。次第にその口付けは濃度を増す。触れるだけだった手と手が絡みあいお互いの間にある距離を少しでもなくそうとお互いの頭、背中に腕をかき抱く。 「ぅ、ふ…んぅ…っ」 ―くちゅり、と澄んだ水音が鳴る。 お互いの口でお互いの口に隙間を作らないかのように唇を、下を、歯茎を、口内にある相手の存在を意味するものを貪った。息が荒くなってもその勢いは止まることを知らずまだ足りないと言わんばかりにお互いの唇を欲した。 不意に梨花の左手が沙都子の背中をなぞる。 「んぅっ!?」 ビクッと電撃が走ったかのように身体を強張らせる沙都子。 「どうしたの、沙都子」 濃厚すぎる口付けをぷはっという息と共に止める。 「ど、…どうした…というのは…?」 「身体が跳ねたから、何か痛いところでもあったのかと思って」 「いえ、そんなわけではありませんの…ただ―」 「ただ?」 「り、………梨花の…その、あの…手が」 「私の手が?」 「気持ちよくて…その、えっと…私嬉しくて」 この子はどうしてこんなにも可愛いんだろう…いつもは強がりな女の子だというのに、こんな恥ずかしがっている姿を見れるなんて。 「嬉しい?」 「ええ…こんなにも、梨花に触れて欲しかったんだと実感していただけの事なんですのよ…」 「沙都子…」 「…って言ってしまってなんだか恥ずかしいですわn…きゃっ!?」 強く強く沙都子を抱きしめる。 「ごめんなさい沙都子、今まで生きてきて私の想いを貴方に受け入れてもらえたのが初めてだから私どうしたらいいのか分からない」 「…梨花」 100年も繰り返した中で試してみたのはたった一度だけ。でもその一度の失敗が怖くてもうそれを試すのが怖かった。沙都子が私に冷たくなるなんて考えたくもなかったから、もうこの想いは永遠に私の中で閉じ込めてしまうしかないんだって諦めてた。それでも跡取りのために沙都子より好きになれない誰かと結婚して子供を身篭って血を引き継いでいかなくてはならないんだと諦めていた。 …でも、沙都子を信じていた。あの日、レナに言われていたように…。 「私、…沙都子がいなくなるのが怖かった…諦めないで、良かった…うぅっ」 「梨花? 泣いていますの?」 「な、泣いてなんか…って沙都子も泣いてるじゃないの」 「え? 本当ですわね…くすくす、これは梨花が泣いてるからですわ」 「どういう…?」 「梨花が笑ってくれるなら私も笑いますわ、ですが梨花が泣くなら私も泣きますわよ」 ――なんなのこの子の可愛さは。今までよく誰も手を出さなかったわね…! 「今のうちに謝っておく、ごめん」 「え、ちょ…梨―」 抱きしめながら沙都子を押し倒す。何が起こったか分からない沙都子の顔をじっと見つめる。 「…出来るだけ優しくするけど、私、止まらないかもしれない」 「…えぇ、肝に銘じておきますわ。今日という日を忘れないために―――」 ――――― 時は夕暮れ、夏の終わりに伴い部屋の灯りもつけず薄暗い部屋の中に想い合う二人が重なる影、そしてひぐらしの鳴く声だけが聞こえる―――。 「…ま、分かってはいたけどやっぱり…ね」 目の前の少女の裸を見て溜息と共にしみじみと呟く。 ――そりゃぁ確かに前からちょっとは沙都子の方が発育がいいなぁなんて思っていたけど…まさかここまでの差があるなんて誰が予想しただろう…いや出来るわけもない。(←反語) 「…ぁ、あんまり見ないで下さいましな…恥ずかしいですわ」 落胆というか羨望というか複雑な発育途上の乙女心が入り混じった視線を少し勘違いして捉えた沙都子はこんなに薄暗くても分かるくらいに、顔が朱に染まっていた。 そういや沙都子は自分の発育の良さに関してあまり快く思ってなかったみたいだった…きっと男子の目とかがあって恥ずかしいのかもしれない。…私みたいのも需要はあるけど、根強い人気はきっと沙都子みたいな子なんだろう…ってあれ何の話だ。 とにかく、沙都子が沙都子である限りどんなに私より優れた身体つきをしていても関係ないわけで…わ、私だってループの世界から抜け出したんだからこれから成長するはず!と願いたい。 「そんな事言ったって仕方ないじゃない。今まで見たくても見れなかったんだし」 「お風呂に一緒に入った時とか着替えてる時とか見てたじゃありませんかっ!」 「それとこれとは別。そんな事言ってると部屋の電気つけちゃうわよ」 「そっそれだけは…! ………うぅ~…梨花は意地悪なんですのね…」 「沙都子には特別なのですよ、にぱ~☆」 「一般的に好きな子には優しくするもんじゃないんですのっ!?」 「ボク達は一般から少し外れているのです、みー」 「…っ」 口にしてから、あ、と思ったけど、やっぱり同性同士がこういう関係になるって言うのは常識から逸脱していると思う。多分私か沙都子かどちらかが男と言う性別なら私も沙都子もあんなに頭を悩ますこともなかったと思うのだけど…。返す言葉が見つけられない沙都子はただ目を伏せて俯いてしまうだけ。こんな顔させたかったわけじゃないのに、失言。 「みー、でもボクは幸せなのです」 「梨花…」 「実る確率が男女に比べて大分低いのに、それでも実ったボクたちなのですよ? 少しズレていてもボクは満足なのです」 「………」 「ボクは沙都子がいてくれたならそれだけで幸せなのですよ」 やはり少し自分の気持ちに、そして今この状況に戸惑いがある様子でいたけれど、その言葉を聞いて何かを思ったのか覆い被さっている私の手を取り自分の頬に触れさせ伏せていた目が私を射る。潤んだ綺麗な緋色の瞳に吸い込まれそうになる。 「そうですわよね…、折角梨花に受け入れてもらえて嘆くなんて贅沢すぎますわね…」 「みー! 沙都子は欲張りなのです」 「全くですわねぇ…ごめんなさ―むっ!?」 ―突然のキス。あまりに勢いづきすぎて二人の歯がカチンとぶつかる。 どうにも私からのキスは強引なものが多いような気がするけど…気のせいよね?みー☆ 「…りっ梨花ぁ!?」 「謝ったら罰としてちゅーしてにゃーにゃーなのです」 「どうしてですの?」 「ボクは沙都子が笑っていてくれた方が幸せなのですよ」 「…っ、………………ゎ…わかりました、わ…」 我ながらなんともこっぱずかしい発言が出来るものだなぁと自分で自分を褒めてあげたい。 でも素直に口に出てきちゃったんだからこれはきっと私の本心なんだろうな、…こんなにクサイ台詞吐くとは思わなかったけど。今まで愛の言葉なんて囁かれた事のない沙都子の顔は100年一緒にいてもみた事がない顔。可愛い。 「そ、それでですね…えっと…これからどうするんですの?」 「へ?」 「あの…だからこれからどうするんですの?」 「これから? …いつまでも仲良く一緒に暮らして生きましょう…?」 「ち、違っ…! そういう事じゃなく…って、梨花!もしかしてわざと?わざとなんですのっ!?」 「え…えぇええええっと…ごめん、何?」 「だからその…何もないんでしたら…私、服を着たいんですけども……ぁの…」 沙都子の言いたい事が理解できた。そりゃそうよね、自分一人だけ裸にされてたら恥ずかしいわよね。っていうか…性の知識が豊富でなくても、好き合ってるもの同士が裸ですることくらいは分かるんだな…とちょっと感心…とちょっと嫉妬。 ――知恵の授業ではおしべとめしべからしか教えてもらってないからきっと誰かから教えてもらったんだろう…圭一?魅音?…考えたら段々ムカムカしてきた。まさか入江なんかじゃないわよね?だとしたらもう絶対沙都子連れて行ったりしないんだから! 「…り、梨花? 聞いてますの?」 「え!? あ、ごめん…ちょっと考え事してたわ」 「…もぅ、失礼な梨花ですこと………こ、こんなに恥ずかしい格好している想い人が目の前にいても物思いに耽るなんてっ」 「ごめんごめん…沙都子怒らないで」 「知らない知らない、知らないもん!」 手足をばたつかせる沙都子もかぁいい。いやちょっと前にも思ったけど今までよくこれで理性保てたわね私。尊敬する。悟史もこんな可愛い妹いて幸せよね、詩音も憎きライバルと思っていたようだけどこれだけ可愛ければどうでもよくなるもんよね。 「ごめんって…大体沙都子を目の前にして他の誰かの事考えてるわけないでしょ」 「だ!だって目が遠く見てましたわよ!」 「え…そうだった? それは気づかなかったわ。ごめん」 「別に気にしてませんけど! どうせ私にはそんな魅力ありませんものね」 「沙都子、今日は何でそんなに怒りやすいの~!?」 「だってだってだって!! …………………梨花が他の人の事考えてるの見るの嫌なんですもの…」 「…………」 「私、梨花を好きになるまでこんなに自分が嫉妬深いなんて思いもしませんでしたのよ、ホントですのよ? …聞いてますの梨花ぁ?」 ――聞いてます!聞いてますとも!なんだっていうのこの子の凶悪的なまでの可愛さというものは!もうそろそろこんな台詞もくどいって分かってる!でもこんなに可愛いなんて反則よ!私どうしよう!!これから先こんな葛藤と常に戦いながら日々沙都子と生活していかなくちゃならないのかしら…幸せなんだけどでもその内理性が崩壊しそうだわ……あぅ。 とりあえず据え膳食わぬは一生の恥とも言うし、両思いになった事だし頂いちゃってもいいかしら…いいわよね、沙都子裸だし。ではでは…いただきま―― 「も、もしかして梨花…私の事好きって言うのは冗談だったりしません…わよね……?」 ――は? 「そ…その私が好きだから仕方なく好き、って言ったわけじゃない…ですわよね?」 ――あ、こりゃヤバイ。ちょっとちょっとヤバイヤバイ警告出てきた警告。 「なんで…そう思うの…ですか?」 「いえ…ただあまり嬉しそうに見えない…というか…その」 「何? 何よ? 言いたい事あるならちゃんと言いなさいよ」 ――ほらほらほらほらちょっとヤバイ方向に進んできたわよ…!ちょっと、誰かー! 「…あまりそういう感情を梨花から感じないので…やっぱり私、迷惑だったかしら…と」 ――プチ って頭のどこかで音した。多分。いや絶対。 「そんなわけないでしょ! 今だって…今この瞬間だって! …一生懸命戦ってるんだから!!!」 「…は? 戦ってる?」 「そうよ! 100年しか生きてないけど千載一遇の大チャンス!こんな状況にまさか陥れるかと誰も思わなかった!だから今!私は!どうしたらいいのか分からない!それは何か、そうそれは沙都子への想いよ!沙都子が私に対しての想いを一つ一つ紡いで私に教えてくれる度に、今まで私は沙都子に対してよく何もしないで済んだわねって自分で自分を褒めてたわよ!沙都子が嫉妬深い!?何よそんなの私なんか嫉妬ばかりの毎日だったわよ!圭一に頭撫でられてにこにこしちゃって何よ!どうせ私は圭一や悟史みたいに手も大きくないし抱きしめても沙都子の全てを包んであげられるくらい背丈も大きくないわよ!私なんかにぱーとかみーとかしか可愛いって言ってもらえないし、どうせ胸だって沙都子より小さいわよ!だから何だっていうの!?こ れ だ け 沙都子を好きなのにそれを嘘だって!?沙都子をこんなに好きなのに疑うの?何でなのよっっっ!!!」 「………ぇと………り、梨花…………?」 「沙都子が私を好きになってくれるわけない、そんな事あるわけないってどれだけ自分に言い聞かせてきたと思ってるの!貴方がいない生活なんて考えられないから貴方に嫌われないように嫌われないように一生懸命だったわよ!沙都子が私を想うより先、貴方が生きてる年数よりもっともっと長い時間貴方を好きな私の気持ちが嘘だなんて、それこそありえないわよ!」 「…ぁ…あのぉ…」 「だから!それだけ長い期間欲求不満な人生送ってきたんだから少しはその幸せをかみ締めたっていいじゃないのよおお!!!」 もう何がなんだかわけ分からないけど沙都子への想いが嘘だと思われた事が悔しくて泣けてきた。今までこんなに一気に言葉を発した事あるかどうか分からないくらいに喋ったけど…自分でも何言ったかよくわからないや。ごめん沙都子。 「り、梨花? …だ、大丈夫ですの?」 「何よぉ…まだ疑うつもりなのぉ…うぅっ、信じてよ沙都子ぉ」 「えぇ、信じますわ…その梨花を泣かせるつもりはなかったんですのよ…」 「うううぅぅう…沙都子のばか…バカ…バカバカ」 「ええ、ええ…私はバカですわね…本当にごめんなさい」 「うううーーーっ」 「梨花」 「何よ沙都子…っく…うぅっ」 「もう…自分で言った事も忘れてしまったんですの?…仕方ない梨花ですこと」 「さ、沙都子が何言ってるの、か…っ分からないぃ~」 私の両頬に添える沙都子の手に力が篭る。引き寄せられる、唇に。涙していた私の両目を開いた時には沙都子の緋色の瞳に私がうつるくらい近くて。 ―――あ、思い出した。 と、同時にちゅ、鳥の鳴くようなと音を立てて口付けられる。 「…梨花、ごめんなさい」 「貴方を信じれなくて、ごめんなさい」 「泣かせてしまって、ごめんなさい」 「今まで我慢させて、ごめんなさい」 沙都子が一言謝るたびその都度、その都度私の唇に柔らかい感触が何度も何度も触れる。 最初は唇だけだった口付けも頬や涙が溜まっている瞳や、瞼、おでこ、指先、掌。出来るところ全てを沙都子の唇に慰められる。なんだかくすぐったくて顔が綻ぶ。 「…やっと笑ってくれましたわね」 「…ん、ちょっと落ち着いた…ありがとう」 「いえ…私の方こそなんだか失言してしまったみたいで申し訳なかったですわ」 「あ…ぁあ、気にしないで…なんだか勢いに任せて恥ずかしい事口走っちゃったわ」 「んーまぁ要所要所意味が分からないところもありましたけど、でも一応は理解したつもりなんですのよ」 「…う~ん…出来れば忘れて欲しいんだけど」 「忘れてしまっては梨花にどれだけ想われていたのかも忘れてしまう事になりますからそれは却下ですわね」 「…沙都子はイジワルね」 「おあいこではありませんか」 「そうね……」 でも、と思い出したように沙都子は紡ぐ。 さっきの梨花はまるで圭一さんのようでしたわね―――なんて。 ――――― 「―それで? 梨花は結局一体何に耽ってたんですの?」 「え? …あぁさっきの話?」 「他に何かありますのっ?」 「ふふふ…、言ってもいいけど聞いたらちゃんと答えてくれる?」 「え、んー…聞かれる内容にもよりますけど、善処しますわ」 「約束ね。―えぇっと…その、私とこれからするだろう…事について、なんだけど」 ―ボンという音と共に沙都子の顔が突然真っ赤に染まる。 「………っっっ」 「…それは誰から教えてもらったの…か気になっちゃって、誰から聞いたの?」 「えぇぇええっと…そ、それは答えなくちゃだめ、ですわよね…?」 「うん」 当然即答。当たり前。私の沙都子にいらん知識を…って別にいらん知識でもないけどなんか汚された感じがする。 「ですわよね……………。えと…た、鷹野さんとかレナさん…とか」 ――ナンデスッテー!? 「とか!? とかって…ま、まだ他にもいるの!?」 「え、ええ…あとはねーねー…、詩音さんや魅音さんにも…」 「なっ!? って大体私たちの身近な人たちばかりじゃないの!ていうか私そんな事聞いた事ない…!!」 「確か、梨花には教えなくてもいいとかって言ってましたわね」 「何でよ!!」 「…さぁ?そこまではさすがに分からないんですけど…」 「まぁいいわ…それで? どこまで聞いたの?」 「どこまで、って特に…言うほどのものでも」 「だ、だってほとんどの女性陣がHOW TOを教えてるじゃないの!」 「ええ…でも相手は男性との場合ですし、それは梨花に対しては当てはまらないのでございましょう?」 ――確かに男女の凹凸である凸の部分は私には当然沙都子にもついてないわけだし、沙都子の言いたいことも分からなくもないんだけど。 「全く当てはまらないかって言ったらそうでもないんじゃないかしら」 「そうなんですの?」 「ん…、ほら、圭一の家に前に遊びにいった時圭一のお父さんの本、ちらっと読んだことがあるのよね」 「え?確か圭一さんは見せてもらえないって言ってませんでしたっけ?」 「…ん、ま…そのほら…そこは、ね…こう…」 圭一と身体の関係がある世界で知った話だから沙都子に話しても分からないわよね…伊知郎が同人作家って言っても。ましてや百合作家なんて言っても穢れてない沙都子の事だし、お花を描かれるんですの?なんて言いかねない。 「―梨花?」 「ああ…また考え込んじゃったわね、ぅん、でもまあとにかくやろうと思えば何でも出来ると思うわ」 「世の中には知らない事がまだまだたくさんあるんですのね…」 「知らなくてもいい事もあるけどね…」 ――…とは言え純真無垢だった沙都子に吹き込んだ奴らめ…後で覚えておきなさいよ…!今度変なことしたらお供え物キムチにするんだから…っ!!! あーどっかであぅあぅ聞こえる、気がする。 「で、…梨花、あの私はどうしたらいいんですの?」 「どうしたら…って沙都子はどうしたいの?」 「…どう、って…………あの、り…」 「り? …り………???」 「……梨花を感じたい…ですわ…………」 「……………………」 ―くらっ、と眩暈が。一瞬でも輪姦なんて思った私がバカでした。 「…だ、だめでしたら…そのっ全然構わないのですけど…あぁあのっ…そんな、あの」 「…危なく襲い掛かりそうになってしまったじゃないの…、沙都子…貴方さっきから何回私の理性を打ち砕くつもりなのよ」 「べべっ別にそんなつもりじゃありませんのですけど…!」 「まあいいんだけどね、元々そのつもりだったし」 「そっ、そうなんですの!?」 「ええ…ずっとずっと我慢してたわけだし、ね…」 「それは申し訳ないことをしてしまいましたわね、ごめんなさ―――ぁ」 沙都子の言葉を皮切りに、今まで待ちに望んだ行為が始まった――― 夏の終わり4に続きます。
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